交通事故でケガを負った時の薬代をはじめとした医療費について

日本ではたくさんの車が走行していることもあって、誰がいつどこで交通事故に遭遇しても不思議ではありません。不幸にも交通事故に遭遇してしまった場合、よほど軽い接触事故でない限りはどこかしらケガをして病院で治療を受けることになります。

もしもの時に慌てずに対処することができるよう、交通事故の際に発生した治療費について知っておきましょう。

治療費として認められるケース

交通事故の場合、原則として現在治療しているケガなどが交通事故が原因であると認められさえすれば治療費は全額交通事故による損害として認められます。例えば、交通事故で腰や首を痛めるというのはよくあるケースですが、首や腰を痛めた場合は病院での検査及び診察や治療、それに薬が処方されます。

これらを受けた際に発生した診察料や薬代は全て損害賠償として請求することが可能です。

さらに、治療費として請求できるのは病院で実際にかかった費用だけではなく、病院に行くまでに公共交通機関を利用した場合には病院までの交通費も請求することができます。ですから、交通費を証明できるものは必ず保管しておきましょう。

治療費が認められる期間は病院で治療を開始し、症状が固定するまでの間です。ちなみに、症状が固定するとはこれ以上治療をしてもケガなどの改善が期待できない場合のことを指します。もちろん完治した場合も完治した時点で症状固定となります。

症状固定は基本的に医師が診察をすることによって判断することとなります。もしも、医師が症状固定と言った後で交通事故後の後遺症と思われる何らかの異変が生じ、再び治療を開始したとしても治療費を請求することはできません。

また、交通事故の治療は基本的には病院で行なっておいた方が良いです。参考情報:アディーレ法律事務所 … 交通事故

確かに、むち打ちや腰の痛みなどは整骨院でも治療が可能ではありますが、整骨院や接骨院は厳密には医療機関ではありませんから、これらの場所で受ける施術は理屈から言えば治療ではありません。交通事故の際に請求できるのは治療を受けたときに限ります。

接骨院や整骨院の施術は治療としては認められないケースが多いので注意しましょう。

治療費を請求できないケース

一方、治療の内容がケガの度合いを考慮してもあまりに過剰すぎると判断された場合は治療費を請求しても認められないことが多いです。例えば、交通事故によって数日で治療できる打ち身程度のケガしか負っていないのに長期の入院をした場合や、これ以上改善する余地もないのに通院を続けている場合などが該当します。

交通事故による身体の痛みは本人にしかわからないものですから、事故に遭った本人が痛みを訴え続けている限り病院側の勝手な判断で治療を終了させることはほとんどありません。しかし、本人が訴えている状況と実際の治療の進展具合とは全く別物です。

治療をしている医師は事故を負った本人ではないですから体の痛みなどは分からないですが、検査や診察などによって交通事故によるケガの治療が終了しているかどうかの判断はできます。

カルテなどを確認し、明らかに過剰な治療と判断できれば過剰治療であると申告するでしょう。医師が過剰治療であると判断した以上、その分に関して損害賠償は認められず、場合によっては自己負担になります。

被害者と加害者の負担割合について

交通事故によるケガの治療費は、事故を起こした加害者が例外なく全額支払うように思えますが、必ずしもそうではありません。交通事故の状況を分析した結果、被害者側にも何らかの過失があると認められた場合、その過失度合いによって被害者側も治療費を負担しなければいけません。

例えば、停車している車に後方から車が突っ込んできてむち打ちなどになって治療を行なった場合は100パーセント追突した側の過失となるので治療費は加害者側が全額支払うことになります。ところが、交差点での右左折時の接触事故などは必ずしも加害者側が全て悪いわけではないと考えられます。

交通事故には状況によって加害者側と被害者側の過失割合がそれぞれ定められているので、実際の事故とあらかじめ定められている過失割合を照らし合わせ、それに従って加害者側と被害者側双方が治療費を支払うことになります。

治療費は基本的に相手の保険会社側から支払われるのですが、治療を受けている人にも過失が認められているならば治療費は過失分を差し引いた金額しか支払われません。残りは自己負担となります。

交通事故による治療でも健康保険は適用されるのか

私たちは病院で治療を受ける場合、結構保険を使用しています。健康保険を使用することによって負担する金額が3割に抑えられているのです。では、交通事故による治療の場合、健康保険を使うことはできるのでしょうか。

結論から言えば交通事故による治療であっても健康保険は問題なく使用することができます。健康保険が交通事故の治療には使えないというのは大きな誤解なのですが、実は医療機関の中でも一部同様の誤解が生じていて、交通事故の治療で健康保険を利用しようとすると断られることが稀にあります。

しかし、健康保険を交通事故の治療に使用する際には手続きが必要となります。被害者は加入している保険会社に対して不詳の原因は交通事故であること、そして交通事故の加害者は誰かという情報や、事故の内容についても報告しなければいけません。

交通事故の治療に健康保険を利用する場合は保険会社に対して「第三者の行為による傷病届」という書類を作成し、提出するようにしましょう。

知っておきたい!道路交通法における交通事故の定義

支払いのタイミングについて

治療費の支払われるタイミングについては治療費を支払う人がどういった保険に加入しているかによって変わってきます。まず、治療費を支払う側が任意保険に加入している場合、治療をしている側は任意保険会社に直接治療費を請求することが可能です。

任意保険会社側が現在の治療を交通事故によるものだと認め、治療費を支払うことを約束した時点で医療機関側は治療をしている本人ではなく任意保険会社に対して直接治療費を請求することとなります。つまり、この時点で被害者側が交通事故の治療費を一切負担する必要がなくなります。

また、治療費を支払う側が任意保険に加入していない場合は治療費を請求する対象が存在しないため、基本的に症状が固定するまでは被害者本人が治療費を建て替えるようになります。そして、通院が終了し、治療費以外の全ての損害が確定してから治療費について加害者側と示談交渉をすることになります。